テレワーク

テレワークは常態化しない!

2020年コロナ禍で世界経済が大打撃を受け、企業が苦戦している中、現在の苦境を乗り越え策として登場したのが、テレワーク、在宅勤務である。最近は本当にうんざりするほど聞かされる。「これからはテレワーク時代だ、もう元に戻らない」「テレワークはニューノーマル」

つい最近、富士通が2022年までオフィス規模を50%まで減らす方針を発表した。

富士通の方針が正し、あるいは間違っている結論を出すつもりはない。但し誰もが真似できるシステムはない。盲従すると、敢て手間が増えたりする。

まず信頼面でずれが発生する。会社のいる時と同等レベルでリアルタイムなコミュニ―ションが取れるようにする為、会社側はビデオ常時オンしてほしい指示を出したとする。部下がどう受け取るかは人それぞれである。人によっては信用されていないから監視したがるとストレスが溜まる。

オンライン会議の効率が激しく落ちる。オンライン会議中によく耳にするセリフがある。「どなたが、返事してください。」。一つの同じ空間で会議すると、人間は発言以外に様々な情報を並行処理している。聞き手の表情としぐさ変化、Aさんが話を遮ろうとした、Bさんが興味なさそうに体の向きを変えた、Cさんがイライラしだした、等々情報は観察ができなくなる(ほぼできない)。意志相通に支障が出て、ストレスが溜まる。

ストレスの増加により酒量が増えたり、家庭内DVが増えているのも事実である。米国のアルコール依存症患者の支援団体が労働者3000人を対象に調査した結果、3割の人が「在宅勤務中に気分を晴らす為、お酒を飲んだことがある」と回答している。日本も同じだ。政府発表によれば、DV相談件数が4月で前年比30%増えている。

上記のようなデメリットは職種、ワーク内容によって、影響度と深刻さが全然違うし、工夫により改善する余地もまだただある。この理由でテレワークを否定するつもりはない。

企業がテレワークを採用した理由

「ジョブ理論」を併用して考えよう! どんな「ジョブ(課題)」を解決する為に、何を「雇用(対策)」したのか分析をしてみよう。つまり、企業はなぜテレワークを進めて来たのかを見ないといけない。企業はクラスタ感染を防ぐ為、テレワークという働き方を採用している。ここで本質を見ると、「ジョブ」はクラスタ感染防止、「雇用」はテレワークである。決して事務所の面積を下げて、賃借料を減らす為ではない。インフルエンザのように特効薬が出たら、ジョブは消える訳である。

恐らく、自分の意見に反対派は、「効率の低下で払ったコストと事務所面積を減らして得た利益を天秤にかける問題であって、テレワークの必要性ないといえない」と反論するだろう。今度は、必然性がなくなった場合、人間はテレワークを本当に好むかを考えないといけない。

テレワークが現代人のライススタイルに適しないのは文明の進化で決められている 

文明の進化で人間の情報処理量は爆発的に増加している

宇宙の誕生から考えよう。天地万物は単純構造から複雑構造に進化して来た。およそ138億年前、ビッグバンで宇宙が誕生するのとほぼ同時に、電子や陽子、中性子が誕生した。その後、陽子と中性子からなるヘリウムの原子核が誕生した。宇宙が膨張していくとともに温度が下がって、約38万年後に、電子が原子核に捕らえられて原子が誕生した。そしてこれらが重力で集まり恒星が誕生し、恒星の内部では核融合が始まり、次々と新しい種類の原子が誕生した。宇宙誕生から約4億年後、原子番号26番の鉄まで生成された。

約46億年前、岩石惑星地球ができ、水ができ、空気ができ、有機物ができ、生命誕生の準備ができた。

  • 38億年前、単細胞生命誕生
  • 15億年前、核をもった生物,真核生物が誕生
  • 5億年前、陸生植物が誕生
  • 2億8000万年前、カブトガニ誕生
  • 2億3000万年前、恐竜が誕生
  • 6500万年前、人類の先祖である霊長類が出現
  • 600万年前、アフリカ中部のチャドでヒトの頭蓋骨が発見

単細胞生命は400℃を超える海底火山口の過酷な環境でも生き延びられるけど、人類は40度を超える環境で3時間持たない。6600万年前の隕石衝突で恐竜は絶滅したが、カブトガニは生き延びてきた。無機物に着眼すると、ウラン原子は46億で崩壊するけど、水素は安定してずっと存在する。

高等生物に進化すればするほど、生物の構造が複雑になって、環境に適用する能力は低下して行った。人類の環境依存度は驚くほど高くて、暑くても寒くても生きられないし、常にカロリーを摂取しないと、生命すら維持もできない。

人類の環境依存は物だけではない。精神面も依存度も上昇して来た。200年の人類は生きて、自分の子孫を残すことが最大の課題だったといえるけど、現代人は生き伸びるより、自分の存在を人に認められるのも重要視している。現代人類は毎日スマホを弄って、世界の隅隅で発生したニュース細目にチェックしている。人と人の付き合いで、自分の情報量が少ないと共通の話題が少ないない、されに言うと認められないと思われるのを危惧しているからである。

仕事も一緒で、社会人は会社に出て、自分の仕事に関係することと関係ないことも常にアンテナを立てて情報を収集している。会社で人と人付き合うのに不可欠な情報である為である。それがテレワークになったら今まで勤務時間中に自然に収集できた情報がパタッと途絶えてしまう。しばらくは貯蓄していた情報貯金を崩して、仕事を円滑に推進して行けるかもしらないけど、時間が経つことで、昔の友人、仲間も距離を感じるし、孤立感で耐えられなくなる。自給自足の時代はない悩み(負担)が現代人に圧し掛かってきている。今後はなおさら人を苦しめる。

テレワークは仕事内容とフォロー体制を慎重に考えた上、取り組めるシステムであり、盲従するのは宇宙文明の時間を巻き戻したいということと同じ幼稚である。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です